こんにちは!
アウトプットの一環として読書記録もここに書いていこうと思います。
今回読んだ本は
AI vs 教科書が読めない子どもたち 新井紀子氏著
です。
数学者でありAIの開発にも携わっている著者が
「ロボットは東大に入れるか」
というプロジェクトに取り組む中で気づいた
「これから人間がAIとともに生きていくために必要な力」
について述べています。
内容も含めた感想になりますのでご了承ください。
「AI」と聞くと最近思いつくのはiphoneのsiriとか、
AmazonのAlexaとか音声を認識して反応するスマートスピーカーだったり、
(Amazon Echoはうちでも使ってます、音楽色々流してくれて重宝してます)
「仮面ライダー01(ゼロワン)」で
人間の姿をして働いているアンドロイド「ヒューマギア」だったり
(仮面ライダー好きでつい書いてしまった)
AIの進歩で病気の診断やらも出来るようになるだろうとか言ってる本があったり
色々ありますが、
技術の進歩を感じずにはいられませんし、本当にそのうちヒューマギアみたいな
ものができたりするのかなーと思ったりもしてました。
この本を読むまでは笑
この本はAIに対する世間のイメージと、
AI技術の現状とのズレについて明確にわかりやすく書いてくださっています。
以下要約
・映画で描かれているような、AIが人類に反旗を翻したり、滅ぼしたりするといったような事象は現状起こり得ない
・なぜならば、今存在しているAIと呼ばれるものは、人間がコンピュータを扱う中で用いる数学によって機能しているものだから。
・数学は現象を数式に置き換えて計算をする。数式で世の中のすべての事象や人間の感情、行動を再現することは不可能であり、よってAIに出来ることは限られている。
・今のAIに出来ることは、決められた枠組み(フレーム)の中において、膨大な教師データ(例えば、イチゴが写った画像に「イチゴ」という名前のラベルを付け、AIにそれがイチゴだと判断させるためのデータ)によって学習させた内容の中から、統計と確率を用いて判断をするといったもの
・Siriなどの音声認識AIは、意味を理解して答えているのではなく、聞かれた内容に含まれるキーワードとその組み合わせから統計的に多いと推測されるものを導いて回答しているだけ
例:まずいイタリアンの店を教えて、と聞いても美味しいイタリアンの店が結果に出る→まずいパスタの店を聞かれることが少なく重要でないとみなされたため
「イタリアン以外の店」と言ってもイタリアンのお店が出てくる→以外、という意味を理解できないため
・今のAIの延長では、「人間の一般的な知能と同等レベルの知能」を持つことは、人間の脳の知的活動をすべて数式で表現することが困難なため不可能である
・このような現状のAIにおいて、「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトのもと作られた「東ロボ君」は、大学入試においてMARCHレベルに合格出来るほどになっている
これは受験者のうちの上位20%に入るレベルである
・教師データを大量に学習することで、統計と確率、論理に基づいた答え(数学や世界史等)は出せるが、意味を理解することが出来ないため、国語や英語の文章の言い換えや文章から考えられる事実を推測して解答することがAIには出来ない
・文章を読み取り、文章から内容を推測するといったものは人間の高度な知的活動である
・だが、近年それらの「文章の読解」が出来ない、中学校レベルの教科書を理解出来ない中学生が増えている
・著者のチームが作成し、全国の中高生25000人を対象に実施したRST(リーディング・スキル・テスト)において、私立の有名高校においても読解力が低い子供が多いことが分かった
・AIには出来ない「推論」や言い換えのような「同義文判定」において、全体を通して成績がかなり低い(選択問題に対しサイコロを振って答えるよりもマシとは言えない中学3年生が、「推論」においては4割、同義文判定においては7割もいる)
・これからの人間に期待することは、AIには出来ない「推論」や「同義文判定」などの読解力を身につけること→フレームにとらわれず、柔軟な思考が出来る、書いてある文章の意味を理解でき、推測出来る人材
・フレーム内で決まったことだけを行う作業であれば、人間よりもAIのほうが遥かに優れている
・AIに出来ること、それはコストの削減や効率化であり、新しい仕事やアイデアを生み出すことは出来ない
・だが、AIによってコスト削減が進めば、AIに代替される職業がたくさん出てくる→銀行の窓口業務、薬剤師の調剤業務など
・それにより大量の失業者が生まれる可能性があるが、その人達がAIの出現によって新たに生まれた職業に就くことは難しい可能性が高い
・新たに生まれる職業はAIには代替出来ない能力、推論や読解力が必要である可能性が高いが、AIによって職を失った人がそれらの能力を持ち合わせていないことが多いと考えられるため
・そんな未来を無くすために著者は、中学校を卒業するまでに中学校の教科書を理解出来るようなシステムの構築をしようと考えている
・何の仕事とははっきり言えないが、人間らしい仕事はAIに代替されることなく残っていくと考えられる、逆に何の仕事か明確に言える職業は今後AIに代替されていく可能性が高い(会計や総務、商品開発など)
・人間らしく柔軟になり、AIが得意な暗記や計算に逃げず、意味を考える、生活の中で困っていることを探す、人間にしかできないことを考え実行していくことが生き延びる道である
内容は自分が読んだ感じでは以上のようなものです。
まとめ
今の技術においてはAIが東大に合格する、ましてや最初に書いていた仮面ライダーの世界のように人間と同じような仕事をしたり、人間に歯向かったりするようなことは起こり得ないということがこの本を読んで分かりました。
ただ、技術の進歩によって今後確実にAIに仕事を代替される職業が数多く出てくる、特に数字や計算をしたり、シンプルな作業をする仕事については今にもそうなるのではないかと思います。
そうなった時に他の仕事に就けるのかどうか、その鍵が「文章を読んで理解し行動出来る」という人間としての能力になるのだなと。
著書の中での調査結果にはなかなか驚きましたが、実際に使われた問題がいくつか載っていたので解いてみました。
ちゃんと読んだら分かるけど何問かうーん?となる問題もあり、大人でもわからない人がいるかもなーと焦りを覚えました。
書かれている文章がどういう意味か頭でしっかりと考えるように意識しないとなーと思うし、子供にも考える癖をつけるように教えていかないといけないなと身にしみて感じました。
看護職という仕事はもちろん単純作業ではないし、人間の心の機微みたいなものも考えながら働くものなのでAIに代替されることはないと思いますが、医療における事務作業やスクリーニング、薬剤の処方等の業務はどんどんAIに替わっていくかもしれないなーと感じます。
そういう雑務や単純作業の部分がAIによって効率化されれば、看護職が患者と関わる時間が増えていくのかなと考えると、その点は看護職、患者両方にとってありがたいこと。
そういうプラスの部分は活用しつつ、AIにはAIの得意な仕事をしてもらい、人間は人間にしかできない心の関わりとか、知的活動を一人一人が実践できるようになる必要がある
そのことを肝に命じて日々学習の気持ちを忘れず生きていこうと思いました。